映画化について
The Dream Manipulator MUGEN is adapted from Mugen Shinshi, a manga by Yousuke Takahashi. In this mystery series set in the early Showa period (1926-1989) in Japan, detective Mamiya Mugen solves weird cases.
This is a story about a detective trying to save a missing child.
The first time I read it,I was 12. It really shocked me.
The kidnapped child was deeply hurt and distorted.
Can the broken child heart be healed?
I wanted to find the answer. This is the reason I made this film.
It was not a easy way to make this film. When I was started this project , many people against the idea.But,my passion for the film also love and respect for the original comic are strong enough to move my company.
Please enjoy this mysterious world.
映画「夢幻紳士 人形地獄」は、高橋葉介先生の同名漫画「夢幻紳士」を原作としています。昭和初期の帝都東京を舞台に、探偵・夢幻魔実也氏が事件を解決する怪奇ミステリです。この映画化は原作を読んだときの衝撃から始まっています。「人形になりたい」と言うヒロイン、ヒロインを助けようとしない探偵。………なぜこの探偵は助けてあげないんだろう?
当時中学二年生だった自分はその疑問に取り憑かれてしまいました。ずっと思い続け、映画という形で答えを出したく、六年前にクラウドファンディングで資金の一部を募り、製作しました。
原作に深い愛情を注ぐファンの方や、何もしらないお客様にも楽しんで頂ければ本望です。どうかこの映画が受け入れられるよう、祈っています。
クラウドファンディングで寄付してくださったファンの方々、本当にありがとうございました。
スタッフ・キャストの方々も、長い時間のお付き合い、本当にありがとうございました。
そして、今回映画化を許可してくださった、原作者の高橋葉介先生、早川書房の吉田様にも心から御礼申し上げます。
監督のつぶやき
なぜこの映画を撮るに至ったかについては、クラウドファンディングのページで書いてきました。改めて別の角度から書いておこうと思います。
漫画を映画化することは自分自身にとっても勇気がいることでした。子どもの頃から漫画は好きでしたが、好きなものがアニメーションでも実写でも映像化されることはとても嫌だと思う子どもでした。
どうして180度変わったかというと、学生時代に観たある映画の影響でした。マンガ原作の実写映画化で、当時原作が好きだったので、ワクワクと劇場に行きました。スクリーンに写っていたのはドタバタする二次元世界での登場人物たちでなく、血肉の通った重力のなかで生きる人間でした。彼らは懸命に各人物の人生を生きてるのでした。最初の20分ぐらいはちょっとがっくりした気がします。ですが、観ていくうちに物語の世界に入っていき、どんどん面白いなあと思えてきました。どういうことかと言えば、漫画ですと、人物の動きはコマ二つで、歩き出し&到着を描けます。(例え話ですよ!)映像ですと単純に動く人物を撮ることになります。どうやって歩くのか?天気は?速度は?背後はどうなの?……そこを映像化することで、コミックでは隠されていた物語を取り巻く世界、登場人物の人生が浮き上がってくるのだなあ、それって面白い事だなと感じたのです。
勿論原作そのものに登場人物の人生が描かれてます。映像はそれを抜き出し・変換することで、あくまでも原作のよさを最大限に生かすことが使命です。その瞬間、自分の表現にいかに近づけるかです。時に逸脱も恐れない覚悟も必要だったりします。
私はその映画を見ながら、多くのことに気づかされたのです。
ちなみに「バタアシ金魚」(原作:望月ミネタロウ/監督:松岡錠司)という作品でした。
二次元でなく三次元としての登場人物の人生が描かれているか?
今回うまくいってるかのジャッジは観客にお任せするとして、それが最大の課題でした。
登場人物の人生という事では、漫画ではありませんが、やはり昔見た旧ユーゴスラビア映画「ジプシーのとき」(監督:エミール・クストリッツア)がいつも脳裏にありました。(不思議な力を持ったジプシーの青年が世間に翻弄されていくお話です)映画って、現実には難しい超能力者という設定でも表現できるんじゃないか?と。
これまで自分が観てきた多くの映画・映画監督たちに感謝を込めて、この場でお礼を申し上げます。特に鈴木清順監督・川島雄三監督そして林海象監督。あ、クリストファー・ノーラン監督も。
以上、監督のつぶやきは置いといて、是非とも「夢幻紳士 人形地獄」ご覧になって下さい!
監督 海上ミサコ(2021/4/20改)